設置研究会カルヴィル研究会

設立趣旨

国内のリンゴ生産が縮小する中、近年、シードルやお菓子など生果での流通に限らないリンゴ品種の利用が高まっている。2010年に品種登録された赤肉リンゴ『紅の夢』も、酸味が強く、その鮮やかな果肉の色を活かしたジュース、ジャム、ケーキなどに調理されての利用が増加している。
また、原料にこだわるパティシエにおいても、他店との差別化やブレークスルーを期してそれら品種の利用を求めています。わが国のリンゴ品種はそのほとんどが明治期以降海外から持ち込まれており、品種改良が進められてきました。しかし、これら品種は生食可能なリンゴの育成であり、その過程で淘汰されてきた品種も多く、現在では一部の大学、研究機関等に遺伝資源として保存されるのみです。これらのことを踏まえて、それら品種や新規加工向け品種などを新たに活用し、地域のリンゴ産業活性化の底上げを図るために、研究会を立ち上げました。

カルヴィル・ブランとは

“カルヴィル・ブラン”はフランス原産のリンゴとされており、日本には明治初期に他の導入候補品種とともに持ち込まれている古い品種です。果皮が青く、陽光面は若干赤く着色する。酸味が強く、煮崩れし難い特徴を有します。日本ではリンゴの育種材料として試験された経緯があるものの、現在では附属藤崎農場をはじめ、国内のごく限られた場所でのみしか栽培されていません。カルヴィル・ブランは、原産地では加熱調理され伝統的な菓子(タルトタタンなど)として利用されていることもあり、国内の洋菓子材料として活用が見込まれます。日本ではこれまでこのような製菓加工適性の高い品種は主として紅玉に限られてきました。しかし、国内洋菓子業の差別化の一環として、またリンゴ生産の差別化・多様化の観点からも、同品種をはじめとしたクラフトりんご(クッキングアップルと称するグループもあるなど、名称は確立されていない)品種への期待が高まっています。

活動内容

  1. カルヴィル・ブランの栽培・収量増加
  2. カルヴィル・ブランの果実品質調査
  3. カルヴィル・ブランの製菓加工試験
  4. その他クラフトリンゴの普及の可能性検討

主な実績

(1)カルヴィル・ブランの試食・意見交換会

カルヴィル・ブランを使用したタルトタタンの試食を行い、今後の活動内容について意見交換会を行いました。

(2)カルヴィル・ブランの苗木配布

8名の希望者に苗木を配布した。栽培管理して頂き、環境によるカルヴィル・ブランの栽培管理の違い把握します。

会員名簿

役員 氏名 所属
会長 三久保 美加 仏蘭西伝統菓子研究家 加工研究
副会長 工藤 昌弘 まさひろ林檎園 生産者代表
副会長 関 浩司 ボンジュール 製菓加工代表
  永井  温子 KIJIMARU APPLE 生産者 HP/SNS作成および運営
事務局 林田 大志 弘前大学農学生命科学部 助教 栽培研究 事務など
  吉仲 怜 弘前大学農学生命科学部 助教 アドバイザー
  苗木生産者 8名

(2021年10月1日)